モンブランは静かに暮らしたい。

静かに暮らしたいのに、好きなことの話をすると静かでなくなってしまうブログです。

晴れの日も雨の日も本を読みたい(5)

 こんにちは、モンブランです。

 ステイホームが求められるご時世ですが、お家で過ごすのが得意な僕に取っては、全く苦ではありません。こんなに快適に思えて大丈夫なのか?と不安を覚えてしまうくらい。

 本を読んだり、ゲームをしたり、小説書いたり、テレビ見たりしていると勝手に1日が終わります。

 RAGEも終わって(サクッと敗退して)シャドバに割く時間をもっと読書にまわすことができれば、少しはステイホーム時間が有意義になるのかなーと期待しながら。

 またまた最近読んだ本のお話をしたいと思います。

 

 

 

 

1.上橋菜穂子『鹿の王』角川書店

 

鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐

鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐

 
鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐

鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐

 

 

 新型コロナという恐ろしい感染症が流行している今、「感染症」というと僕はこの作品のことを思い出します。何度か繰り返し読んだのですが、改めて手に取ってみました。
 あらすじは以下の通り。

 

 強大な帝国・東乎瑠(ツオル)に侵略されつつある故郷を守るために戦った戦士団<独角>。
 その頭であったヴァンは、戦いに敗れたのちに奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。
 ある夜、ひと群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生した。
 周囲の人々が死に絶える中生き残ったヴァンは、同じく生き残った幼児ユナを連れて、外で一緒に生きることを決意する。

 一方、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡領では、オタワル王国出身にして帝国の若き医術師ホッサルが懸命にその治療法を探し、その過程で岩塩鉱からのヴァンの脱走を知る。

 犬に噛まれても病にかからない人もいることを発見したホッサルは、従者にヴァンを捜索させる。

 感染から生き残った父子と、命を救うため奔走する医師。
 過酷な運命に立ち向かう人々の“絆”の物語。

 

 著者の上橋菜穂子さんが文化人類学者でもあるからか、架空の世界であるにも関わらず、そこで暮らす人々の生活様式、土地や気候、歴史などが緻密に描かれています。そのお陰で、作中人物たちの生の感触をよりリアルに味わうことができます。『守り人シリーズ』を読んだ時にも思っていたのですが、『鹿の王』でも改めてそう感じました。

 そして、『鹿の王』はファンタジーでもあり、医療ドラマでもあります。

 患者と向き合いながら病の謎を解いていくことで、“命の流れ”についてホッサルと共に、読んでいる僕も深く考えさせられました。

 全体的にシリアスな内容なのですが、ユナの可愛らしさにはとても癒されました。「おちゃん」と呼んでヴァンに懐く彼女は、終盤でも重要な役割を持っています。

 重厚な長編故にハードルが高いように見えますが、そこはご心配なく、簡単でとても読みやすい文章なので、すぐに作品世界に浸ることができます。

 続編の『鹿の王 水底の橋』も併せてオススメです!

 

 

2.彩藤アザミ『昭和少女探偵團』新潮文庫NEX

昭和少女探偵團 (新潮文庫)

昭和少女探偵團 (新潮文庫)

 

 

「ご機嫌よう」という挨拶が自然に飛び交う、昭和初期の女学校、それもお嬢様学校が舞台。

 タイトルの通り、少女たちが探偵団を組んで周辺の謎多き事件に立ち向かう物語です。

 主人公の花村茜は有名小説家を母に持ち(父は放蕩者)、明るく好奇心旺盛な少女。彼女の行動力のおかげで謎多き才女・夏我目潮や天才兼変人の丸川環などを引っ張り込んで探偵団を結成するに至りました。

 勿論フィクションではありますが、満洲鉄道爆破事件や昭和恐慌などの当時実際にあった出来事を踏襲しており、時代がかった語り口調も相まって昭和の雰囲気をリアルに味わうことができます。

 物語を動かす謎解きも丁寧かつわかりやすく、ミステリとしても十分に楽しめる小説でした。

 是非お試しに読んでみてはいかがでせうか(笑)。

 

 

3.青谷真未『読書嫌いのための図書室案内』ハヤカワ文庫

 

 タイトルに惹かれて手に取ったのですが、これもまたミステリでした。

 あらすじは以下の通り。

 読書が嫌いな高校二年生の荒坂浩二は、ひょんなことから廃刊久しい図書新聞の再刊を任されてしまいます。無理だと言っても聞き入れられず、本好き女子の藤生蛍を仲間に迎え嫌々ながらも取り組むことに。

 蛍と共に紙面に載せる読書感想文の執筆を依頼し始めた浩二でしたが、依頼相手である同級生の八重樫、美術部の緑川先輩、生物の樋崎先生から、執筆と引き換えに不可解な条件を提示されてしまいます。

 その理由を探る浩二と蛍はやがて、三人の秘めた想いや昔学校で起きた自殺事件に直面し……。

 という内容の、本をめぐる高校生たちの青春と秘密の物語です。

 ミステリの中ではいわゆる“日常の謎”というジャンルに入りますが、その謎を解く鍵は本にあります。

舞姫』など、学校の授業でも取り扱ったタイトルが登場し、登場人物たちはそれらをどう読むかが問われます。

 例えば、豊太郎とエリスのどちらに感情移入するか。それによって、その人物が何を思っているのかを推し量る。

 このように本を通して人と向き合っているところが、この小説の面白いところだと思います。

 真摯に本に向かい想像を働かせる蛍と、“ある独自の視点”を持つ浩二の読み方の対比もポイントです。

 読書嫌いの方にも読書好きな方にも、どちらにもオススメしたい小説です。

 

 

 

 

 いかがだったでしょうか。

 中々魅力的なステイホームの友たちだったと思います。特に『鹿の王』は図らずもタイムリーな内容を扱っているため、ぜひこの機会に多くの人に読んで欲しいなーと、一人の読書好きとして思っております。

 

 

 本当はこの本についての話もしたかったのですが、話したくても話せない内容だった故、今回は割愛させていただきました。

 ヒントというか言い訳としては、『イニシエーション・ラブ』的な事情で……。

 まだまだまだまだ色んな本を読んで、色んな話をしたいですね。

 皆さんのステイホーム生活が充実したものになりますように。

 

 ではでは、今回はこの辺で!