こんにちは、モンブランです。
近頃は忙しくて趣味に回す時間があまりないのですが、それでも本を読むことだけはやめられない!
ということで、最近読んだ面白かった本をいつものようにご紹介したいと思います……の前に。
本を読むことそのものに対して考える機会が少し前にあって、その話をしようかなーと思います。
本を読む醍醐味は無数にあって、人それぞれに楽しみ方があると思います。
僕が強いて一つに絞って挙げるとするならば、本の内容を追体験できることでしょうか。
限りある人生の時間の中で体験できることはだいぶ限られています。それに、自分の今の日常を胸を張って「面白い」と言い切れる人はそう多くないはずです。かく言う僕もその一人。ささやかな日常を謳歌しつつ、何か面白いことないかなーと指を加えてボーッとしてばかり。
そんな問題を解決してくれる友が本なのです。文章を追うことで人物の思考や風景を頭に思い浮かべることで、およそ自分が体験できないような非日常を味わうことができます。
それはアマゾンの奥地へ恐竜を発見しに行くことだったり。
またあるいは、バラガキと呼ばれた実際の歴史上の人物の出来事だったり。
自分が実際に体験した日常も、本で読んだ非日常も、どちらも頭に思い浮かべれば同じこと。フィクションとノンフィクションは回想にしてしまえば、そこまで大きな差はないのです。
そう考えてみると、本を読むだけで自力では得られないような経験値を得られると思うと、とても素晴らしいことのように思えてきませんか?
ただ、実際にはみんながみんなそうはいきません。本を読むことに苦手意識を持ったり、面倒に思ったりする人も少なくありません。それは何故か。
本を読むのは面倒くさいからです。何が面倒くさいって、文章を読んで自ら頭に思い浮かべるという自ら積極的に行動しなければならないところです。絵や漫画ならば一目で理解できるものを、文章では読んで理解するという複数の工程を踏まなければならない。それが苦手意識を与えたり、面倒に思わせたりするのです。
しかし、本を読むことは楽しむこと以外にも多くの利点があります。
まずは読解力。文章を追うことに慣れると、文と文の繋がりーー文脈を理解できるようになります。逆に文脈の理解が足りないと、会話が通じなかったり噛み合わなかったりして、日常生活に支障をきたすでしょう。家の中でも外でも、それでは困ってしまいますよね。
次には語彙力。言葉は実際に使われているところから身につけるのが一番手っ取り早いです。そんな実用例を手軽に参照することができるのが本なのです。語彙も多いに越したことはないですよね。何を表すにも「ヤバい」だけでは残念だし、RPG風に言うなら、覚える呪文は多いキャラの方が重宝されるものです。
……何だか書いていて説教臭くなってしまいましたね。僕が言いたいのは、本は色んなことを教えてくれる物知りな友達くらいに思って欲しい、ということです。
食わず嫌いならぬ読まず嫌いは勿体ない!
読書最高!
ということで、前説がめちゃくちゃ長くなってしまいましたが、今度こそ本題の読んだ本の話をしましょう。
1.青山美智子『鎌倉うずまき案内所』宝島社
僕の最近のイチ押し作家である、青山美智子さんの作品です。
あらすじは以下の通り。
会社を辞めたい20代男子。ユーチューバーを目指す息子を改心させたい母親。結婚に悩む女性司書。クラスで孤立したくない中学生。いつしか40歳を過ぎてしまった売れない劇団の脚本家。ひっそりと暮らす古書店の店主。悩める彼らの前に突然現れる「鎌倉うずまき案内所」。螺旋階段を下りた先には、双子のおじいさんとなぜかアンモナイトが待っていて…。平成時代を6年ごとにさかのぼりながら、6人の“はぐれた”人びとが「気づくこと」でやさしく強くなっていく。うずまきが巻き起こす、ほんの少しの奇跡の物語。
読み進めるにつれて時代を逆行していくというのが面白く、また、エピソード間の人物たちの繋がりがあるのが魅力です。このエピソードに登場した夫婦があのカップルの後の姿だったり、魅力的な同僚が別の子の中学の同級生だったり。そういう発見が多くて、一度読んだ後もまた読み返したくなるほど物語に病みつきになるのです。
その上で、青山美智子さんの作品の持ち味である、読んでいて登場人物と一緒になって前向きになれる要素がふんだんに詰まっていて、この作品も読後感がとても良い、素晴らしい作品です。
これまでブログで書いてきた中でもトップクラスにオススメな小説です。機会があれば、ぜひぜひお手に取って欲しいです。
アニメ化もした『響け!ユーフォニアム』でも有名な、武田綾乃さんの最新作です。
あらすじは以下の通り。
遊ぶ時間? そんなのない。遊ぶ金? そんなの、もっとない。学費のため、家に月八万を入れるため、日夜バイトに明け暮れる大学生・宮田陽彩。浪費家の母を抱え、友達もおらず、ただひたすら精神をすり減らす――そんな宮田の日常は、傍若無人な同級生・江永雅と出会ったことで一変する!
愛情は、すべてを帳消しにできる魔法なんかじゃない――。
……武田さんの別作品(『石黒くんに春は来ない』など)を読んでいても感じていたのですが、この人、相当な闇を抱えていますね。もちろん褒め言葉ですよ。
誰もが心の奥底で封じ込めているようなネガティブな感情が詳らかにされていって、妙な快感すら覚えるほどです。そういう言葉にしづらい感情をわかりやすい文章に変換できるのが、この著者の強みだと思います。
陽彩に限らず、他にもそれぞれの形の“毒親”に縛られた人物たちが登場して、色々と考えさせられます。
が、鬱屈した雰囲気の中でも、陽彩の最後の決断が小気味良く、読後感を気持ち良くしてくれました。
ユーフォのような雰囲気を期待して読むと痛い目を見ますが、それでも筆力のある著者の別作品に興味があったり、怖いもの見たさで読んでみたかったりする人にはオススメです。
さてさて、いかがだったでしょうか。
前説が長過ぎたせいで今回は2作品しか紹介できませんでしたが、たまにはこういう試みも良いんじゃないかと思います。僕は楽しかったです。
このブログの記事数も次で50に到達します。ビックリですね。よくここまで続いたものだと、呆れ半分感慨半分みたいな感じです。
次に何を書くかは全く考えておりません。ノープランです。またその時になったら、書きたいものを自由に書こうと思います。
ではでは、今回はこの辺で!