モンブランは静かに暮らしたい。

静かに暮らしたいのに、好きなことの話をすると静かでなくなってしまうブログです。

晴れの日も雨の日も本を読みたい(11)

 こんにちは、モンブランです。

 先日、金曜ロードショーで『耳をすませば』をやっていましたね。青臭いラブストーリーと、夢に直向きな雫と聖司の姿は、見ていて恥ずかしさを覚えつつも憧れてしまいます。

 特に、雫と聖司の出会うきっかけになった図書室の貸し出しカード。今はもう完全にバーコードで統一されていて、見ることはなくなってしまいました。僕も使っていたのは小学校の頃まででした。ひょっとしたら、貸し出しカードを使っていたギリギリの世代だったのかもしれません。安易に「昔は良かった」とか言うつもりはありませんが、不便を愉しむ面白さもあったと思えば、何故か救われた気分になります。

 

 

 さて、今回は久しぶりに最近読んだ本の話をしたいと思います。ノンジャンルで。

 

 

1.町田そのこ『宙ごはん』小学館

 

 

この物語は、あなたの人生を支えてくれる

宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。

 

 町田そのこさんと言えば、本屋大賞受賞作でもある『52ヘルツのクジラたち』が有名ですが、僕はこちらの方が好きでした。

 物語は一章ごとに主人公の宙が成長していき、取り巻く環境が変わるごとに視野も拡がっていきます。

 憧れや尊敬の対象だった大人たちも、実はそれぞれに問題を抱えていて、弱さを持つ存在であること。そうして見えてきた現実が、宙にとって決して優しくはないこと。それでも、寄り添い、理解して、折り合いを付けていく宙たちの姿がとても印象に残りました。

 中でも、宙の実母の花野の後輩の佐伯(こうして書いていて違和感すごいので以後は『やっちゃん』で)はとても重要な役割を担っています。

 彼も花野に対して叶わない恋心と恩義の混ざった複雑な感情を抱いていますが、宙に対しては純粋な愛情を持ち、彼女の為に作る“宙ごはん”が物語を好転させる鍵を持っています。

 全体を通して、「渡鬼か?」と思うくらいに厄介な出来事が舞い込んできて、正直に言って読む方も疲労感を覚えるほど。

 そんな苦しい時に、大事な人とごはんを食べることと、その時間の大切さを思い出させてくれる起点が、やっちゃんでした。

 よくある美味しいごはんを食べて癒されるような日常系ストーリーを期待していたら絶対に痛い目を見ると思いますが、それでも時間と機会があれば是非読んでみて欲しい作品です。

 ちなみに、本編を読み終わったら必ずカバー裏の特典小説も読みましょう。ある人物がどんな思いで宙に接してきたかを窺うことができますから。

 

 

2.アタモト『タヌキとキツネ8』リラクトコミックス

 

 

(1巻あらすじ)

話題作、ついに書籍化! ! 50ページ以上の描き下ろし!

ちょっぴりぬけてるタヌキと、ちょっぴりいじわるなキツネ。
お山で暮らす2匹はとっても仲良し。

ほっこり癒やされるフルカラーコミック!
描き下ろしもいっぱい!

 

 綿密に組まれたストーリーを読むのも良いけれど、たまには頭を空っぽにしてクスッと笑えるような作品を読みたくなることもありますよね。

 この『タヌキとキツネ』は癒しを求めて時々読んでいる、大好きな漫画です。

 キツネについて、あらすじには「ちょっぴりいじわる」と言われていますが、1巻の表紙にもあるように定期的にカチカチ山ネタでタヌキをいじめたりと、まあまあブラックなネタもあります。しかし、なんだかんだでタヌキとずっと一緒に居るので、ツンデレなのかもしれません。

 タヌキはとにかくマイペースです。色々突拍子もないことをやったり、オオカミに懐いたり(⁉︎)、そう考えると多少辛辣なツッコミを受けても問題ないんじゃないかと思えてきました。

 いずれにしても、可愛さは正義です。

 Twitter発の漫画なので、当然作者さんのTwitterからも読めますので、そちらもオススメです。

 

 

 

3.『建築知識2022年8月号』エクスナレッジ

 

 

縄文から江戸時代、貴族・武士の館・寺院から庶民の住まいまで!
日本の建物と町並みの歴史を徹底解説

 

 まず最初に誤解を解いておきますが、僕は建築関係の仕事に就いてはいませんし、今後そちらの業界に勤めることを想定して勉強してる訳でもありません。

 僕はこの『建築知識』を資料として購読しています。時々。毎号買ってはいなくて、目ぼしい内容の時だけ買っています。なので、持っているのはこの2022年8月号と、2021年12月号、2022年5月号だけです。

『建築知識』には建築史や、建築についての基礎的な知識や名称が絵や図と一緒に書かれています。

 この8月号は“日本の家と町並み”がテーマで、縄文時代の竪穴式住居から江戸時代の大名屋敷まで幅広く取り扱っています。

 縄文時代は流石に懐かしむのは難しかったものの、平安時代や江戸時代は小説や文学作品で読むことが多く、文章だけではわからなかった当時の建築関係のものの名前を知ることができて面白かったです。

 これは偏見なのですが、授業中に教科書の隅っこに書かれたコラムや絵を見るのが好きだった人に、特にオススメです。良い具合に知識欲を満たしてくれます。

 

 

 

4.ホリー・ジャクソン『自由研究には向かない殺人』創元推理文庫

 

イギリスの小さな町に住むピップは、大学受験の勉強と並行して“自由研究で得られる資格(EPQ)"に取り組んでいた。題材は5年前の少女失踪事件。交際相手の少年が遺体で発見され、警察は彼が少女を殺害して自殺したと発表した。少年と親交があったピップは彼の無実を証明するため、自由研究を隠れ蓑に真相を探る。調査と推理で次々に判明する新事実、二転三転する展開、そして驚きの結末。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、イギリスで大ベストセラーとなった謎解き青春ミステリ!

 

 おまけに、現在進行形で読んでいるこの作品を。

 評判が良く以前から読みたかったものがようやく手に入ったので、忙しい社畜の時間の合間を縫って読んでいます。紙幅にして約3分の1くらい。

 創元推理文庫というコテコテの推理小説のレーベルから出ている割に、文体と内容はヤングアダルトに近く、すいすい読むことができます。

 また、自由研究という体裁を取っているため、ピップを中心とした小説パートと、ピップが記録を取って関係者にインタビューするパートとに分かれています。

 容疑者とされ自殺した少年から、その関係者に至るまで、ピップ自身に近しい人物ばかりなので、彼ら彼女らを疑うことに苦悩する場面も目立ちました。また、彼女自身も客観的な判断ができていない自覚もあります。

 警察の捜査が一通り終わってしまっているものの、時間の経過と関係者に近しい立場から、ピップのインタビューで意外にも新たな事実が浮かび上がってきて、ページを捲る手が捗ります。

 繰り返しになりますが、今読んでいる最中なので、どういう結末を辿るのかはわかりません。探偵役のピップがとても感情移入しやすいキャラクターなので、彼女と一緒になって考えながら楽しく読み進めていきたいと思います。

 

 

 

 さてさて、いかがだったでしょうか。

 まだ完全に暑さは引いてはいないものの、そろそろ読書の秋も近いことですし、「折角だから」という魔法の呪文と共に何か読んでみたら良いと思います。

 僕は平常運転で充分かなぁと。……本当は仕事の方が落ち着いてくれたら、もっと読書に時間を割けるのに。

 そんなこんなで、今回はこの辺で!