こんにちは、モンブランです。
以前、こういうものを書いていたのを覚えておられるかたはいるでしょうか?
https://monbran-likes-gentle-life.hatenablog.jp/entry/2024/12/23/200021
第100回記念で書いてみたのですが、今回で120回に到達したので、もう100冊追加で書いちゃおう!
そういう悪ノリが今回のおブログです。
以前の100冊に入り切らなかった分や、以前のものを書いた後に出会った素晴らしい本もあるので、今回のもう100冊の中でご紹介できればと思います。
尚注意書きがありますので、前回のものを引用しますね。
※注意書き
・思いついた順に並べているため、ジャンルやレーベルはバラバラです。特別な意味はありません。
・書いた時期もバラバラなため、作品ごとに文章の質や熱量が異なります。予めご了承ください。
・書影というか密林リンクがないものもありますが、絶版故にない場合や、普通に忘れている場合がございます。
・全体的にオススメしているような文調ですが、あまり気にしないでください。読み流してくれるだけで十分です。
・挙げていない有名な作家、作品についてのツッコミはお控え願います。未読ならば良いですが、単に嫌いだから挙げていないこともあるからです。オススメは大歓迎です。
はい。読んでいただけましたね。
では、前回から続くので、ナンバリングは101からお送りしたいと思います。どん!
101.太宰治『斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇
』文春文庫
太宰については作品を決めきれなくて、前回の100冊でパスしていました。今回も欲張りセットな文庫を選んでズルしました。
とりあえず、ここにあるものを読んでおけば大丈夫です(個人の感想)
教科書で読んだ「富嶽百景」も入っているのが、個人的に嬉しいです。
電子媒体ではどれもタダで読めますが、文庫で読むならばこの文春文庫版がオススメです。
102.岡嶋二人『クラインの壺』講談社文庫
この作品が初めて刊行されたのは1989年。今からもう40年近く前になりますが、今で言うVR技術を題材にした作品です。優れたSF小説は時代を先取りすることがありますが、この作品もまさにそれを体現しています。
岡嶋二人は名前の通り2人1組の作家で、この作品を最後にコンビを解消しています。それまで優れたミステリを数多く世に出してきましたが、こちらは最終作にして最高傑作だったと思います。
誘拐ものを数多く書いていることも有名で、その中でも『99%の誘拐』もとても良かったのですが、どうしても『クラインの壺』は外せませんでした。
103.又吉直樹『第2図書係補佐』幻冬舎よしもと文庫
又吉先生は小説以外の著作は面白い。
文学作品を絡めた自身のエッセイ集となっていて、作品紹介的な側面は薄いものの、芸人ならではの切り口や、数多くの読書を通して培ったのであろう文章はとても面白く読めました。
尚、又吉先生自身が執筆した小説には一切言及しませんので悪しからず。
104. 北方謙三『望郷の道(上・下)』幻冬舎文庫
ハードボイルドものでデビューし、その後数多くの歴史小説を書くようになった北方謙三大先生。今作は、北方先生の曽祖父をモデルにした主人公の時代小説です。
先生自身が一番の自信作としているだけあって、上下巻にも関わらず、体感ではあっという間に読めてしまいます。
成功と挫折、そして再起。何よりも、家族や仲間との絆など、僕が普段は手放しに持て囃さない綺麗事を、存分に堪能できます。
今年初めて読めた本ですが、即100冊入りでした。年間ベストに入れても良い。良いぞ。
105.三島由紀夫『花ざかりの森・憂国』新潮文庫
三島由紀夫についても太宰と同様に悩んだ挙句、パスしていました。
三島はその痛烈な最期が有名ですが、その色眼鏡を外した上で、美しくも繊細な日本語の文章を味わって欲しいです。
とりあえず読むなら『金閣寺』、同じ告白体ならば『仮面の告白』、ある意味三島らしくはないけど『潮騒』も優れた作品です。
が、今回は敢えて、かつて早熟の天才と呼ばれた三島由紀夫が、16歳で書いた「花ざかりの森」を読んで震えてください。
豊穣の海の4部作は、不勉強ながらまだ読めていないため、いつか手に取ってみたいです。
106.東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』講談社現代新書
この著作に深く感銘を受けた訳ではありません。
書かれていること全てが正しいとは思いません。
ただ、日本のサブカルチャー史を振り返る切り口は、そこそこ面白いと思いました。
今改めて読んでみると、さらに時代が移ろいサブカルチャーも劇的に変化していると感じます。
混沌化した今を、著者ならどう分析するのでしょうか。観る目が曇っていないならば読んでみたいです。
107.アンディ・ウィアー著、小野田和子訳『プロジェクト・ヘイル・メアリー(上・下)』ハヤカワ文庫SF
またおもしれーSF小説が誕生しました。
これまで海外SFの入り口と言えば、とりあえず『夏への扉』を推していましたが、今はもうこれで良い気がします。
記憶を失った主人公が次第にその目的を思い出し困難に立ち向かう様はゲーム的であり、正確な科学的知識に裏打ちされた物語が、読みやすい文章で語られており、端的に言って最強です。
上下巻あることに尻込みしないでください。騙されたと思ってちょっとだけ読んでみて。とぶぞ。
108.平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』講談社現代新書
シンプルに考え方が面白かったです。
今までありそうでなかったアイデンティティの捉え方で、気が楽になる人も少なからず居ると思います。……悪く言えば、「分人」という考え方が面白いだけとも言えますが……。
ちなみに、このかたの小説は2冊読みましたが、僕には合いませんでした。
109.舞城王太郎『短編七芒星』講談社文庫
舞城王太郎という小説のやべー人の中でも、比較的とっつきやすい作品です。
「ろくでもない人間がいる。お前である。」の書き出しでバズったこともある短編も収録されています。
独特な文体で辟易されがちですが、唯一無二な文章・キャラ・世界観はハマれば癖になります……が、人に薦めるのも難しい。
本当は『九十九十九』が一番好きなのですが、まずはここから。
110.井上夢人『おかしな二人 岡嶋二人盛衰記』講談社文庫
『クラインの壺』を書いた岡嶋二人のうちの一人である、井上夢人さんが岡嶋二人としての活動を自ら振り返って書いたものです。
井上夢人さん自身は現在も特殊設定なミステリを始めとして他ジャンルにまで及んで執筆を続けています。……続けると言うには寡作ではあるのですが。岡嶋二人時代はめちゃくちゃ筆が早かったのに。
井上さんの作品から絞れなかった……と言うのもありますが、コンビ作家の栄枯盛衰エピソードもそうそう拝めるものではないので、岡嶋二人作品をある程度読んでから、手に取ってみて欲しいです。
井上さん単独の著作なら『プラスティック』か『オルファトグラム』かな。
111.陳舜臣著、日下三蔵編『方壺園』ちくま文庫
今ひとつ一般的な知名度が低いのですが、陳舜臣さんという中国史小説の大家を知らないのは勿体無いです。
実は、陳舜臣さんのデビュー作はミステリで、現代から過去の中国までを舞台にしたミステリ作品も数多く執筆していました。
中華風ミステリは『薬屋のひとりごと』で世に受け入れられやすくなっている今、陳舜臣を読むべきだ!
と思っているのはごく少数派でしょうね。
112.小島秀夫『創作する遺伝子 僕が愛したMEMEたち』新潮文庫
奇妙な話ではあるのですが、小島秀夫作品のゲームに触れる機会にはよく恵まれるのですが、ちゃんとプレイしたことは一度もないのです。
不思議な距離感ながら、小島秀夫さんの優れた作家性はよく存じ上げていて、それが膨大なインプットによるものだと、『創作する遺伝子』を読んでいて伝わってきました。
勿論、読書家・映画ファンがみな優れたクリエーターになれる訳ではありません。それでも、優れた作品に呑まれかねないインプットのリスクを乗り越えて、己が感性やそれをアウトプットする術を培ってきたからこそ、メタルギアシリーズなどの数多くの名作を世に送り出してこられたのだと思います。
これを読んでいたら安部公房を読み返したくなりました。
113.堺雅人『文・堺雅人』文春文庫
今でこそ日本を代表する人気俳優のひとりである堺雅人さんですが、慶應大学を中退(⁉︎)し売れない下積み時代を過ごしてきた過去がありました。
自身でそれを綴ったものを読んでみると、この人はとても優秀ではあるのだけど、俳優になるべくしてなったのだと感じさせられました。
こうなるしかなかった、みたいな。
『VIVANT』の新作での演技も楽しみにしています。
114.小川哲『言語化するための小説思考』講談社
小説を書くためのハウツー本ではありません。タイトル通り、言語化することについて書かれていて、それは小説を書く人間に限らず広く役に立つと思います。
新書ではなく、ノベルスでもなく、新書サイズの単行本というのも面白いですよね。
短編小説も収録されているので、小川哲さんのファンは必見な本なのではないでしょうか。……と、他人事のように申し添えておきます。
115.ジェーン・ハー著、安達眞弓訳『宮廷医女の推理譚』創元推理文庫
僕は韓国ドラマの中でも、朝鮮王朝の時代ものが好きで、特にイ・ビョンフン監督作が好きでした。『チャングムの誓い』などで有名なかたですね。
その辺りを視聴していれば、この小説でも描かれている朝鮮王朝時代の風土や身分制度などの理解がしやすいと思います。僕の場合、本作の最初にあった用語の説明書きは不要でした。
「推理譚」とあるように、主人公が恩師の冤罪を解くべく事件の謎に挑む話なのですが、朝鮮王朝で最も有名な英祖の時代を描く小説としても価値のある作品だと思いました。
身分差の恋については、あの時代の身分制度が相当にシビアだったのであまり現実的ではありませんが、血生臭くなってしまいがちな本編の彩りにはなっていたのではないでしょうか。
116.南海遊『永劫館超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした』星海社FICTIONS
特殊設定もののミステリの中でも最近特に注目している作家さんです。
目を引くイラストもそうですが、ミステリの好事家としては、そのあらすじに心惹かれました。
ネタバレを回避するため、詳細は書けないのですが、割とタイトル通りです。
超自然な要素をミステリの文脈に落とし込めているのがお見事です。
直近2冊はまだ読めていないので、そちらも読んでみたいですね。
117.鷲田清一『じぶん・この不思議な存在』講談社現代新書
国語の評論でこの人の文章を読まなかった人は恐らく居ないと思われます。
そして、帯にもある疑問について己自身に問わなかった人は、少なくとも中2以上では居なかったはず。
大人になってまで大真面目に考えている人はかなりの少数派でしょう。……ただ、自分と他者との境界線が曖昧になっている大人は少なくないはず。
少しでも心当たりのあるかたは老若男女問わず読んでみてください。
118.G•ガルシア=マルケス著、鼓直訳『百年の孤独』新潮文庫
お酒ではありません。小説です。
以前このブログでも扱いましたが、ある一族の百年を描いた叙事詩です。
が、非常に読みづらいです。同じ名前、特に男性の「アウレリャノ」と「アルカディオ」が頻出するせいで、非常にややこしい。
それでも、他では味わえない読書体験は何にも代え難いものです。
ある程度、読書慣れしたかたであれば、まとまった時間に一気読みを推奨します。
119.内田樹『寝ながら学べる構造主義』文春新書
「構造主義」を知らずとも幸福で豊かな人生を送ることができます。
ただ、知ってさえいれば、もっと面白い見方をすることができるでしょう。ここで説明するのは容易いですが、敢えて焦らします。
詳しくはこちらをご覧ください。
少なくとも、前半までは寝ながらでも学べると思います(個人の感想)
120.NONSTYLE石田明『答え合わせ』マガジンハウス新書
僕が好きだった頃のM-1を制した、NONSTYLEの石田さんが、漫才について語った本です。
人を笑わせるのにここまで考えることできる人が居るんだと、感心させられました。過去から現在にかけての漫才界の分析にも説得力がありました。
まさかこの本でも一押しされていた芸人のひとりがオンラインカジノで摘発されるとは思いませんでしたが、この本そのものはお笑い好きだった自分にとても刺さりました。
121.サン=テグジュペリ著、堀口大學訳『人間の土地』新潮文庫
『星の王子さま』も良いけれど、あえて推すならばこの『人間の土地』です。
サン=テグジュペリが空軍のパイロットだった時の回想を元に書かれていて、当時の生活だけでなく生命観や空から見る大地の姿も描かれています。地に足をつかなくなったことで、人間の土地を俯瞰して見られるようになった、というのも面白いですね。
スタジオジブリの宮﨑駿監督が表紙絵だけでなく巻末に解説文も書いているので、そちらも併せておすすめです。
122.ジョー・キャラハン著、吉野弘人訳『瞬きすら許さない』創元推理文庫
人間とAIのバディで事件の解決に奔走する刑事小説です。人間とロボットのバディは『鋼鉄都市』など有名な作品がありますが、AIと組む作品は今までなかったような気がします。
読んでみて、人間とAI双方の共存と成長、そして、ミステリの新しい展開を堪能できました。
続編があるとのことなので、今後の邦訳も楽しみです。
123.廣野由美子『ミステリーの人間学ーー英国古典探偵小説を読む』岩波新書
英国産の名作ミステリが、作家ごとにその特色がわかりやすく魅力的にまとめられています。
これまでも自分は少なからず国内外のミステリを読んできたつもりでしたが、これを読むとまだまだ読んでいない名作がたくさんあると思わされました。
必ず次にミステリを手に取りたくなるような本でした。
124.殊能将之『ハサミ男』講談社文庫
“本物”のハサミ男と警察の両視点で真相を追う構成が面白く、ハサミ男視点の違和感が終盤に複線として回収・解消されてスッキリしました。
常に謎があり続けたおかげで、ページを捲る手が止まらなくなる良作です。
メフィスト賞作品は気を衒うあまり、純粋な小説としての面白さに欠けるものも少なくないのですが、こちらは本当に広く読んでみてもらいたい作品です。
125.ダン・ブラウン著、越前敏弥訳『オリジン(上・中・下)』角川文庫
『ダヴィンチ・コード』で有名なラングドンシリーズの、文庫での最新作です。
ラングドン教授が美女と一緒にあちこちを駆け回りながら謎を解くスタイルは健在で、今回は人工知能も話に絡んでいます。当時はまだ今ほどAIが日常に浸透していない頃だったので、まさしく時代を先取りした作品です。
上中下巻の3冊もある長編ですが、いざ読み始めるとあっという間でした。
単行本最新作も読みたいけれど、今の御時世は単行本が高い……。翻訳物くれば尚更です。
文庫化が待ち遠しい。
126.茅田砂胡『スカーレット・ウィザード(1〜6)』中公文庫
“最強のヒロイン”と聞いて、誰を思い浮かべるでしょうか?
僕は哀川潤と並んで、ジャスミンを思い浮かべます。
この物語を簡単に説明すると、破天荒なヒロインがやべー夫と結婚して滅茶苦茶する話です。……雑にも程がある言い方ですが、そんなに間違ってはいません。
今ひとつ知名度が低い作品ですが、少しでも興味を持っていただけたら読んでみてください。
127.土屋賢二『われ笑う、ゆえにわれあり』文春文庫
(恐らく)日本一おもしれー哲学者が書いたエッセイです。
森博嗣先生繋がりで土屋先生を知りましたが、とにかく自虐ネタがお上手。
多くは語るまい。読むべし。
28.竹内洋『教養主義の没落』中公新書
米津玄師が読んだとして一時期話題になった新書です。そして、多くの人たちがそのハードな内容にリタイアしていったことでしょう。
かく言う僕も、読んだ内容の100%を理解できたとは言い難い。現代史……ではあるのですが、個人的な感覚だと近代かもしれません。時代の過渡期には10年や20年で嘘みたいに物事や価値観が移り変わります。
教養主義の没落。そしてその先は?
またまとまった時間にじっくり読み返したいです。
129.H•G•ウェルズ著、阿部知二訳『タイム・マシン』
良き古典が新版で最近出ました。
これは読むしかない。以上。
130.氷室冴子『少女小説家は死なない!』集英社オレンジ文庫
80〜90年代に少女小説ブームがありました。それを牽引していたのが、氷室冴子さんです。
当時の記憶は人々の間から薄れているかもしれません。スタジオジブリで映画化された『海がきこえる』はもう少し名前の通りが良いかな?
ただ、僕個人の意見としては、他の作品の方が好きですね。
氷室冴子さんの作品には、作中に出てくる誰もが「これは自分だ」と思わせるような共感を誘引するものがあります。
文章は平易でありながら内省的。そして時に豪快にして大胆。
このとんでもない作家の新作がもう読めないことが本当に悔やまれます。
『少女小説家は死なない!』は、令和の世ではとてもできないようなヤンチャぶりが発揮されています。だから、敢えて選びました。
131.鈴木敏夫責任編集『スタジオジブリ物語』集英社新書
スタジオジブリ作品ファンなら皆読むべき……というか読んで面白い本だと思います。
作品ごとに読むならば、文春ジブリ文庫のジブリの教科書シリーズの方が良いのですが、これ1冊でこれまでの作品の制作背景を知ることができるのでおすすめです。
132.高野和明『ジェノサイド(上・下)』角川文庫
これを最初に読んだのは単行本の時でした。本屋大賞にノミネートされていた頃だったと思います。
おっかないタイトルですが、そのボリュームに反して夢中になって最後まで読み切れてしまう上質なサスペンスです。
アフリカで闘う傭兵と、日本の薬学専攻の大学院生の視点で交互に物語が進行していきます。一見何の関係もなさそうな両者がどのような形で合流することになるのか……!!
という映画みたいな煽り文句を言ってましたが、2026年時点で映像化はされていません。映えそうではあるけれど、諸々難しいかもしれません。
133.恩田陸『蜜蜂と遠雷(上・下)』幻冬舎文庫
恩田陸さんも様々なタイプの話を書かれる作家さんなので、絞るのに悩みましたが、やはりこれは外せないということで、こちらにしました。『ユージニア』とかも好きなんですけどね。
音楽を活字に起こすことはとても難しい。しかし、それを平気でやってのけ、あまつさえ読み応えのある人間ドラマに仕上げてしまっているのが、恐ろしいです。
単行本の時は1冊で2段組でした。文庫本でも上下巻に分かれるボリュームですが、体感あっという間に読み切れます。
134.芦田愛菜『まなの本棚』小学館
このかたは人生2周目なんじゃないかと疑いたくなります。僕は他人の本棚を覗くのが好きなのですが、芦田愛菜“さん”の本棚はこうして1冊の本にできるほどの価値がありました。彼女の非凡なる感性・知性がいかに養われたかが本棚から窺うことができます。
山中伸弥先生や、辻村深月先生との対談もとても面白いので、そちらも必見です。
135.藤野恵美『わたしの恋人』角川文庫
王道を往く学生ラブコメ……と称するには一捻りありますが、読んでいてとても爽やかな気分になれる物語です。
分量もさほど多くないので、意外に忙しい社会人向けでもあるかもしれません。
ここでは挙げませんでしたが、こちらを楽しめた方はぜひ『ぼくの嘘』も読んでみてください。『わたしの恋人』に登場したとあるキャラが主人公を務めている、もう一癖あるお話なので、そちらも合わせておすすめです!
136.青谷真未『鹿乃江さんの左手』ポプラ文庫
SF(すこしファンタジー)な百合です。女子校という舞台もそうだけど、その年代の女子の解像度が高めなのもポイント高い。
137.森バジル『ノウイットオール』文春文庫
『探偵小石は恋しない』で本屋大賞にノミネートされた森バジルさんのデビュー作です。
1つの町を舞台にジャンルの異なる短編が書かれていますが、それぞれで思わぬ繋がりがあり……というお話です。書籍版では帯が大きく作られており、それを取るのは全てを読み終えてからが推奨です。
138.アントニイ・バークリー著、藤村裕美訳『毒入りチョコレート事件』創元推理文庫
こちらもいわゆる“多重解決もの”のミステリとしての古典で、最近新訳版が発売されました。
海外ミステリに興味のある方はぜひ読んでみて欲しいです。ミステリファンだけでなく、慣れていないかたの入門書としてもありだと、個人的には思っています。
139.宮澤伊織『そいねドリーマー』ハヤカワ文庫
タイトルと表紙絵から想像させるようなゆるさはありません。しっかりSFしています。
百合に親しむかたの中で、もしもSFを一緒に味わいたくなったら、こちらを読むべきだと思います。
1冊で完結しているため、この作者さんの代表作シリーズの『裏世界ピクニック』シリーズよりも取っ付きやすいです。
140.幾原邦彦選『世界の涯てを生きるあなたへ 寺山修司詩集』双葉社
寺山修司の詩集は文庫でも多く出版されていますが、横槍メンゴ先生の絵に釣られて買ったかたは幸運です。
現代だと谷川俊太郎先生と比べると一段落ちる知名度ですが、寺山修司の端的で平易ながらも芯をつくような言葉の数々に魅了されること間違いなしです。
メンゴ先生のコメントが帯にしかないのが少々悔やまれるポイントではありますが……。
141.夏川草介『本を守ろうとする猫の話』小学館文庫
『神様のカルテ』や『臨床の砦』ほか数々の医療小説の名作を書いている作者の中で、何故あえてこの作品なのか。
本好きの自分に刺さったからである。なにが悪い。
という開き直りはさておき、実際に面白いので、色眼鏡なしで読んでみて欲しい小説です。
142.ディーリア・オーエンズ著、友廣純訳『ザリガニの鳴くところ』ハヤカワ文庫
ひぐらしもうみねこも全く関係ありません。そもそも“なく頃に”ではないし。
ここ最近出版された海外産のサスペンス・ミステリでは一番好きな作品です。
ここではあえて詳しく言うまい。良いぞ。
143.王谷晶『ババヤガの夜』河出文庫
普段バイオレンスな小説はあまり読まないけれど、気まぐれを起こして手に取って良かったです。
男女の価値観が旧い時代と世界観の中で、そこから解放される2人の姿が読んでいて気持ち良い。
そして、叙述トリックには見事に騙されました。
144.小峰元『アルキメデスは手を汚さない』
東野圭吾さんが小説を書くきっかけになった学園ミステリです。青春学園小説というには小悪党が多いです。70年代って……。
145.野崎まど『タイタン』講談社タイガ文庫
AIが極度に発達すると人間のすべきことーーつまり、『仕事』がなくなってしまう。そんな近未来の世界で、AIのカウンセリングという『仕事』を与えられてしまった主人公のお話です。
『仕事』をなくすと人間は暇を持て余すらしいのですが、今の自分からすれば全く理解できない感覚ですね。働きたくないでござる。
146.アシュリー・ウォード著、夏目大訳『ウォード博士の驚異の「動物行動学入門」動物のひみつ』ダイヤモンド社
コスパ最強、鈍器のような厚みの動物行動学の本です。絵や写真は少ないのですが、翻訳文が非常に読みやすい。
これを読んでいると、人間も動物なのだなと改めて思わされました。故に、他の動物たちから学べることはとても多いのです。
動物に特別興味がなくても、知識欲を満たしてくれる良い本です。
147.いとうせいこう『「国境なき医師団」を見に行く』講談社文庫
いとうせいこうさんというと、昔放映していた某バラエティーで葉巻を咥えたり胸毛ボーボーの悪党イラストが印象的でした。
が、ちゃんとマトモなかたです。存在は知ってはいても、実際に「国境なき医師団」を見に行こうと行動する人はそう居ないでしょう。作家ならではの目線で書籍化してくれたこの本はとても価値があると思います。ちなみに、これ一回きりではなく、その後も何度か見に行っているそうです。見習いたいバイタリティです。
148.平原卓『読まずに死ねない哲学名著』フォレスト出版
これも横槍メンゴ先生の絵に釣られて買いました。
が、読んでみると結構気になる哲学書が出てきました。積読が溜まっている今、実際に手に取れるのはいつになることやら……。
149.ジェイムズ・H・シュミッツ著、鎌田三平訳『惑星カレスの魔女』創元SF文庫
宮﨑駿監督の絵に釣られて買いました(既視感)。
内容は重厚なSFではなく、ジュブナイルに近いです。古き良き宇宙船ドタバタもの。たまにはこういうのも良いよね。
150.清涼院流水『コズミック 世紀末探偵神話 新装版』星海社FICTIONS
平成におけるミステリの奇書。メフィスト賞のある種の方向性を定めた1冊です。
設定も展開もキャラクターもめちゃくちゃ。真っ当なミステリを好む人が読んだら壁に投げつけたくなるレベルです。
僕は「これはこれで面白い」と楽しめました。これと併せて『ジョーカー』も面白かったので、『コズミック』で懲りなかったかたはそちらもおすすめです。
151.ウォルター・アイザックソン著、井口耕二訳『スティーブ・ジョブズI•II』講談社+α文庫
日頃、Apple製品にお世話になっているので、創業者たるジョブズのことを知るべきだと思って、手に取りました。普段はあまり伝記は読まないんですけどね。
個人の伝記ではありますが、インターネットの発展などの近代史も垣間見えます。
今のAppleを目の当たりにしたら、ジョブズはどんな反応をするでしょうか。何となくブチ切れそうな気がします。
152.深水紅茶『いばら姫とおやすみ。』富士見L文庫
自分にしては珍しくネット発の小説から。
これを読んでいた時は切実に癒しが欲しかった気がします。見ての通り百合です。
153.皆川博子『倒立する塔の殺人』PHP文芸文庫
女学校ものの、ミステリ方面にガチな百合です。作中作なども絡んでいて、どちらかというとミステリとして好きな作品でした。
154.宮木あや子『雨の塔』集英社文庫
舞台設定としては前項の『倒立する塔の殺人』と似ていますが、こちらは人間関係に重きを置いた作品です。特殊な経緯で学園に集められ、さらにその学園が閉鎖的なところだったとしたら……。
155. 梶山季之『せどり男爵数奇譚』ちくま文庫
『ビブリア古書堂の事件手帖』きっかけで読みました。そして、ビブリアよりもこちらの方を遥かに好きになりました。僕があちらのアンチということもありますが。
本が絡んだ不思議な話は、本読みにとって大好物ですね。紀田順一郎先生の『古本探偵シリーズ』も好きなのですが、あえてこちらを推したい。
156.谷崎潤一郎『文芸読本・陰翳礼讃』新潮文庫
谷崎潤一郎は、恐らく『痴人の愛』などのせいで太宰よりも更にアウトローなイメージを世に持たれているかと思いますが、実際には多方面に造詣が深いエンターテイナーでした。プライベートがアレだったのも本当の話ですが。
その中でも、ちょうどこの1冊に収められた2作は現代でも通用する名著です。特に「陰翳礼讃」は大学時代に読んで深く感銘を受けた文章なので、ぜひ読んでみて欲しいです。
ちなみに、小説で推すならばやはり『細雪』。めちゃ長いけど。
157.有川浩『旅猫リポート』講談社文庫
『図書館戦争』シリーズは好きになれませんでした。この人の書くラブコメ、恋愛フラグの絡む小説にはことごとくハマらなかったのですが、この『旅猫リポート』だけは面白かった。全米は泣かずとも僕は泣きました。僕の目にも涙。
猫を可愛いものの象徴として持て囃す風潮は好きではないのですが、猫が猫らしくいてくれるのは好きです。そのありのままの姿がちゃんと可愛いのです。
158.トム・フランクリン著、伏見威蕃訳『密猟者たち』創元コンテンポラリ
森博嗣先生きっかけで読みました。絶賛発売中ならぬ絶版発売中です(多分)。
自然と謎、そして人間の怖さが堪能できます。再販してくれないかなぁ……?
159.エリス・ピーターズ著、大出健訳『聖女の遺骨求むー修道士カドフェル・シリーズ1ー』現代教養文庫
光文社文庫のリンクしかありませんでした。僕が持っているのは現代教養文庫版です。こちらも絶版発売中ですね。
復刊して欲しい度合で言ったら、『密猟者たち』よりも高い。本当に面白いのだけど、多分『ブラウン神父』シリーズよりもさらに知名度が低い。
東京創元社あたりに期待。
160.トルーマン・カポーティ著、村上春樹訳『ティファニーで朝食を』新潮文庫
オードリー・ヘプバーン主演の映画も有名ですが、今回は原作小説の方で。
アメリカ文学を語る上で欠かせない1冊で、映画でオードリー演じるホリーがとても魅力的です。村上春樹訳はとても読みやすいので、小説で読んでみたいかたはこちらがおすすめ。
161.坂本真綾『アイディ。』星海社文庫
坂本真綾さんのファンだから入れた(ドンッ)!
真綾さんのエッセイだと『満腹論』シリーズが特に好きなのですが、まずはここから。
曲が良いと思い、少しでも気になったかたには手に取ってみる価値があると思います。そして、一緒に沼りましょう。
162.サラ・ペナー著、新井ひろみ訳『薬屋の秘密』ハーパー文庫
薬屋の秘密と聞いたら、毒を連想するに決まっているんですよね(ネタバレ)。
ただ、毒をお守り代わりに持たなければ生きていくことのできなかった、立場の弱かった時代の女性たちを思うと切なくなります。
怖い話ではないので、ホラーが苦手な人でも大丈夫です本当だよ。
163.相沢沙呼『invert 城塚翡翠倒叙集』講談社文庫
シリーズの2冊目ですが、実質1冊目のようなものです。1冊目が正直微妙だったのですが、この2冊目からは面白くなります(個人の感想です)。
“倒叙”ものは、いわば犯人視点で物語が進行するミステリのスタイルのことで、ドラマで言うと『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』をイメージしてもらえば、わかりやすいかと思います。
女性2人のコンビネーションが魅力的で、楽しく読むことができます。
倒叙集の2も刊行されていますが、作者のスランプにより更なる続刊は未だ刊行されています。
続きそうな伏線を張ったからにはちゃんと回収していただきたい。
164.デイヴィッド・ハンドラー著、河野万里子訳『フィッツジェラルドをめざした男』講談社文庫
以前の100冊では、チャンドラーの『ロング・グッドバイ』を挙げましたが、ハンドラーを入れ忘れるという大失態を犯していました。
ハードボイルド調のミステリですが、フィリップ・マーロウほどアクが強くなく、それでいて物語における会話文がとても特徴的かつ魅力的です。
こちらも多分絶版のため、手に入れるのが難しいのですが、良き名作として挙げたい作品です。
165.ジャネット・スケスリン・チャールズ著、高山祥子訳『あの図書館の彼女たち』創元文芸文庫
舞台は1939年のパリ。戦時中の過酷な状況下でも図書館を開け続けようと奮闘する人々の物語。
というと、映画のあらすじみたいですが、この小説の真価は人間ドラマにあります。勇気と友情、その裏に隠れた嫉妬も、物語を彩ります。
図書館好きも、第2次世界大戦の戦時史に興味があるかたも、そうでないかたもぜひ読んでみてください。
166.クリスティン・ペリン著、上條ひろみ訳『白薔薇殺人事件』創元推理文庫
アンソニー・ホロヴィッツと並び立って、クリスティの後継者と目される犯人当てミステリです。
現代では出来の良い王道ミステリは逆に貴重。現代の文章で古典を思わせる趣向を楽しめます。
167.ホリー・ヘップバーン著、廣瀬麻微訳『シャーロック・ホームズは引退しました』創元推理文庫
王道から王道リスペクトへ。
ホームズはその知名度から実在を信じる人々も居て、コナン・ドイル亡き後も彼ら彼女らから依頼の手紙が作中住所に届く。郵便室勤務の主人公・ハリエット(ハリー)が日々断りの手紙を書いていたが、その中で彼女の心を揺さぶるものがあり……。
胸糞上司や“性”という壁にぶつかりながらも、自らの意思を貫き、“ホームズの秘書”に扮しながら謎に挑むハリーがとても魅力的でした。
続刊も邦訳予定とのことなので、非常に楽しみ。
168.千早茜『透明な夜の香り』集英社文庫
“音”もそうですが、“香り”もそう。目に見えないものを文章で表すのは難しいです。
客の望む“香り”を作る調香師の小川朔のもとで、元・書店員の一香がアルバイトをするところから物語が始まります。
最初は無茶振りを強いられる彼女は、人並外れた嗅覚を持つ朔の孤独に気がつき……。
まだ1巻しか読めていないのですが、シリーズの続きも刊行されているらしいので、読んでみたいです。積読がある程度消化できたら。
169.ジャック・フットレル著、宇野利泰訳「十三独房の問題」(江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集1』創元推理文庫)
とあるきっかけで「十三独房の命題」を読みたくなったのですが、探しに探してここにありました。
日本でも有名な海外作品は長編ばかりですが、短編も良い作品があるのです。
時間とお金があれば、傑作集をコンプリートしたい。
170.ステュアート・ウッズ著、真野明裕訳『警察署長(上・下)』ハヤカワ文庫
ジョジョの荒木飛呂彦先生イチ押しの小説として紹介されていたので、結構古い作品でしたが、頑張って探して手に入れました。
世代を跨がる物語はジョジョにも通じる部分があって面白かったです。犯人がだいぶアレだったけど。
171.京極夏彦・柳田國男『遠野物語remix』角川文庫
作家被り禁止ルールで行くとグレーなのですが、柳田國男先生の作品扱いでよろしく。
全くの別作品きっかけに怪異に興味を持って、古典の名作『遠野物語』に行き着きました。京極夏彦先生の手でかなり読みやすくなっているため、『遠野物語』が気になったかたはこちらがオススメです。
172.村山由佳『ある愛の寓話』文春文庫
愛を結べるのは人と人の間だけではない。恋愛小説の名手が綴る、一風変わった愛の寓話たちです。
……正直、このかたの代表作シリーズは途中で挫折してしまったのですが、こちらは素直に楽しむことができました。
173.江國香織『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』集英社文庫
短編集で、さらに1話あたりがショートショートに匹敵するほど短いです。
が、その内容は咽せるほどの密度が濃く、溺れてしまった女性たちを眺めることができます。
短編で良かった。この密度で長編になったら、こちらまで溺れてしまう。
174.北山猛邦『「クロック城」殺人事件』講談社文庫
舞台設定、世界観と雰囲気は良かった。
作中の要素を個別で見れば魅力的ではあったけど、総てを合わせて一つの作品として読むと歪な印象を受けた。惜しい。
という個人的な辛口コメントはさておき、今年この城シリーズの最新作がようやく発売されたので、そちらも読んでみたいですね。
175.西澤保彦『新装版 七回死んだ男』講談社文庫
日本の特殊設定ミステリでは外せない名作です。前回の100冊に完全に入れ忘れていました。
昨年、作者の西澤保彦先生が亡くなられたことで、再注目を集めました。ギミックや登場人物の名前の癖が強く、ファン以外には取っつきづらさもある西澤先生の作品ですが、『七回死んだ男』の完成度の高さと面白さは万人に勧められます。
176.秋山瑞人『猫の地球儀 焰の章』『猫の地球儀 その2幽の章』電撃文庫
ラノベを入れ忘れていたので入れてみました。めっちゃ古いけど。古き良きSF色が強かった頃の電撃文庫を代表する作品のひとつです。
ついでに、僕の好きな猫観とも噛み合ったのが良い。ブギーポップのような長きに渡るシリーズではなく2冊で完結してくれているのもありがたいですね。
177.柏葉幸子『新装版 霧のむこうのふしぎな町』講談社文庫
青い鳥文庫のリンクしか見つからなかった。結構古い児童文学ですからね。
ジブリ映画『千と千尋の神隠し』に影響を与えた作品でもあります。原作ではない。物語の大枠に共通点はありますが、だいぶ魔改造されています。
気になるかたはぜひぜひ読んでみてください。とても優しいお話です。
178.小林秀雄、岡潔『人間の建設』新潮文庫
文系のすげー人と理系のすげー人の雑談集。注解・解説込みで200ページ未満の薄い文庫です。
2人とも幅広い分野の知識を持ち、その上で自らの考えを持っているため、双方の交わりやぶつかり合いが対話の面白さに繋がっています。
小林秀雄の批評は、特に初期のものは読みづらくて頭を掻きむしりたくなるほどですが、このかたが日本における近代批評家のパイオニアであることは間違いありません。
一番取っつきやすいのはこちらの『人間の建設』ですが、小林秀雄個人の著書だと『読書について』が、より理解しやすく面白かったです。
179.アニメージュ編集部編『あれから4年…クラリス回想』アニメージュ文庫
『ルパン三世カリオストロの城』が好きだから。宮﨑駿監督自身がこの作品について語っています。以上。
180.スティーブン・R・コヴィー著、ジェームス・スキナー、川西茂訳『7つの習慣 成功には原則があった!』キングベアー出版
社会人であることに慣れてくると、この本に書かれていることが沁みるようになってきます。
全部が全部実現できるとは限りません。ただ、頭の片隅に入れておくと、立ち回りがマシになる気がします。
父が取っ付きやすいように漫画版を買ってくれたのですが、内容が説教臭くて嫌になり、返って原書の方が面白かった、という個人的なエピソードもあります。
今は完訳版があるので、そちらがオススメです。
181.姜尚中『漱石のことば』集英社新書
夏目漱石が著作や講演で遺した言葉の数々をわかりやすくまとめてくれた1冊です。
姜尚中先生ご自身の著書も数多くありますが、悲しいかな、そちらはまだ読んだことがないのです。機会があればまた。
182.ヒッチコック、トリュフォー(山田宏一、蓮實重彦訳)『定本 映画術』晶文社
先に挙げた『人間の建設』をすごく分厚く、すごく高価に、そして映画の手法に留まらない創作論を学ぶことができる本です。
『荒木飛呂彦の漫画術』にて、荒木先生が漫画を作る上でのお手本として挙げていたのが、こちらの1冊でした。
ヒッチコックはだいぶクセのあるお人柄だったようですが、聞き手のトリュフォーのおかげで書籍化可能な程度にまとめられていたので、聞き手の技術の重要性をも、この1冊から窺えました。
183.スタジオジブリ責任編集『宮﨑駿イメージボード全集4 ナウシカ前史』岩波書店
いつかコンプリートしたいなぁと思いつつ、この1冊だけは手元にあります。
『魔女の宅急便』は刊行されないらしいので、あたしゃ悲しいよ。
184.高木彬光『帝国の死角 第一部・天皇の密使、第二部・神々の黄昏』中公文庫
高木彬光の裏ナンバーワンとも呼ばれた名作の復刊がつい最近発売されました。元々は同作者の『人形はなぜ殺される』を入れるつもりでしたが、差し替えてこれを書いています。
第一部は、第二次世界大戦下の欧州で、天皇からの勅命を受け、とある任務にあたる軍人の話です。これだけでも、スパイ小説のような面白さがあるのですが、第一部は前置きに過ぎません。第二部からは、とんでもないどんでん返しが待ち受けており、ミステリとしての真骨頂が発揮されるのです。
ミステリでありながら、スケールが大きく幅広い趣きのある大作です。復刊に感謝!
185.光瀬龍『百億の昼と千億の夜』ハヤカワ文庫
スケールという尺度だけで見ると、このSFに敵う作品はそうそうないのではないでしょうか。
作中世界に熱中したい、むしろ圧倒されたいというかたには、こちらの和産SFをイチオシさせてください。
ちなみに、萩尾望都先生によるコミカライズも最高なので、そちらもご賞味あれ。
186.三秋縋『恋する寄生虫』メディアワークス文庫
怖い話ではありません。寄生虫とか怖いこと書いてあるけれど、怖い話ではありません。
失業中の青年と不登校の少女がやがて恋に落ちるが、その恋心は頭の中にいる虫によるものではないかという、遣る瀬ないラブストーリーです。
バッドエンドは苦手だけど、お花畑なハッピーエンドにも飽きてしまったかたにオススメです。ちょうどそのくらいの塩梅のお話です。
187.井伏鱒二『黒い雨』新潮文庫
僕が井伏鱒二を最初に知ったのは太宰治の「富嶽百景」の中でのこと。きっかけからして捻くれていますね。
それはさておき、ここで言う「黒い雨」とは原爆の放射能を指します。被爆した方々の健康被害、またそれを理由に婚姻が破談になるなど、読んでいて全く楽しい話ではありません。ただ、知らないままのうのうと生きていく気にもなれません。そんな小説でした。
188.アイザック・アシモフ著、小尾芙佐訳『われはロボット〔決定版〕』ハヤカワ文庫
かの有名な「ロボット三原則」はこの小説群に由来します。
それでいて、三原則に裏をかくような展開が描かれているのが、面白いところです。
決定版で翻訳も読みやすいので、こちらがオススメです。
189.横山秀夫『64(上・下)』文春文庫
日本の警察小説を語る上で横山秀夫先生は外せない。
『半落ち』『陰の季節』など数多くの名作を書かれた横山先生ですが、新作が中々出版されない時期があり、そんな沈黙を破るように出てきたのがこの『64』です。
横山作品のひとつの集大成とも呼ぶべき『64』は映画化もされています。そちらも良かったのですが、やはり文章で読んだ方が味わい深いです。あくまで個人の感想ですが。
190.斜線堂有紀『楽園とは探偵の不在なり』ハヤカワ文庫
2人以上殺したものは“天使”によって即座に地獄に堕とされるようになった世界。探偵・青岸焦は大富豪・常木王凱に誘われ、天使が集まる常世島を訪れる。そこで彼を待っていたのは、起きるはずのない連続殺人事件だった。
……ちょっと何言ってるかわからないでしょうが、そういう特殊設定ミステリです。最近、終末やディストピアな世界のミステリが熱い気がします。
191.小野不由美『東亰異聞』新潮文庫
東京ではなく東亰。小野不由美さんはもっとメジャーな名作が数多くありますが、僕はこれしか読んだことがないのです。怖かったです。
192.養老孟司『バカの壁』新潮新書
20年以上前の著作ですが、令和の読者の身にも積まされる話が多いです。
「バカの壁」は、いつでも誰にでもある。まずは自覚をするところから。
193.マーク・トウェイン著、村岡花子訳『ハックルベリィ・フィンの冒険』新潮文庫
逆張りして『トム・ソーヤーの冒険』ではなく、こちらを選んだ訳ではありません。
トムとの冒険を経て浮浪児から大金持ちになったハックが、再び冒険に出るお話ですが、トムとの冒険よりもアウトロー感がマシマシです。それでいて、黒人差別などの当時のアメリカ社会の風刺要素も強く、叙事詩としても楽しめます。
トムとハック、両方読みましょう。
194.E•ブロンテ著、鴻巣友季子訳『嵐が丘』新潮文庫
『嵐が丘』を読んだことねぇ奴いる?
……まあ、普通にいると思いますが、世界三大悲劇のひとつに数えられる有名な作品です。
プロットが複雑ゆえに、どういう話かを簡単に説明するのが難しいのですが、嵐が丘に迷い込んだ主人公がかつてそこで起きた悲劇の回想を幽霊から聞く話です。幽霊がいる時点でお察しください。
195.デボラ・インストール著、松原葉子訳『ロボット・イン・ザ・ガーデン』小学館文庫
以前映画化されたものは観ていないのですが、幅広い年齢層に勧められる子どものようなロボットのお話です。
楽しいことからつまづくことまで、まるで人間の子どものようなのです。
シリーズとして続いているので、ガーデンに留まらず見守ってあげましょう。ここで描かれているようなロボットが現実になる日はそう遠くないかもしれません。
196.マーガレット・アトウッド著、斎藤英治訳『侍女の物語』ハヤカワepi文庫
ディストピア小説をもうひとつ。出生率が激減したアメリカ……でクーデターが勃発して政権奪取されたギレデア共和国が舞台です。
女性たちから財産と自由を奪ってエリート男性に“侍女”として仕えさせ、子供を産む存在としてしか権利を認められないという、だいぶ末期な世界です。
主人公の名前も“オブフレッド”ですが、この“オブ”は“of”、つまり誰かのものであることを指しています。
本当、こんな世界にならないと良いですね。
197.ジョージ・オーウェル著、高橋和久訳『一九八四年〔新装版〕』ハヤカワepi文庫
ディストピアはここで打ち止め。そして、最も有名な作品です。
第三次世界大戦後に世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの3つの大国に分轄統治され、人々は権力者たちから思想・言語・結婚などのあらゆる市民生活を監視・統制されています。
そんな世界で、主人公・ウィンストンとヒロイン・ジュリアは密かに愛し合いますが、密告により捕えられてしまい……。
バッドエンドまっしぐらですが、こういう痛みを伴う学びもありかもしれません。ただ、再読はしたくないな。
198.ヘミングウェイ著、高見浩訳『老人と海』新潮文庫
ヘミングウェイは短編の世界的名手として知られていますが、長編も素晴らしい。
迷ったので中間にしました。
いや、分量関係なく、『老人と海』は良いぞ。読んどけ読んどけ。
199.J.D.サリンジャー著、村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』白水社
前100冊の方をざっと見返して、こちらを入れ忘れていたことに気づいて焦りました。
16歳の少年ホールデンが退学を言い渡されてから、正式に退学になるまでの話です。物語らしい劇的な起伏はなく、それでも読めてしまうという不思議な作品です。
一文が長い文章が続くなど、翻訳小説にありがちな読みづらさもあるので、万人に勧めるのは難しいかもしれません。
どんなきっかけでも良いから、何となく気になったら手に取ってみてください。
200. ほぼ日刊イトイ新聞・編『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた』株式会社ほぼ日
任天堂の元社長、岩田聡さん。彼の著書ではなく、彼の言葉をまとめた本です。
天才プログラマーでありながら、その人柄と能力からリーダーとしての非凡な才能を発揮された所以が窺えます。カリスマというよりも、“この人と一緒に仕事をしたい”と周りに思わせるようなかただったのだと、読んでいて感じました。
僕は常日頃“働きたくない”と思いながら仕事をしていますが、岩田さんの遺した言葉の数々は身につまされるものばかりでした。本棚のすぐに手に取ることのできる場所に置き、ふと思い立った時にページを捲れば、いつでもお話を伺えるような、そんな感覚があります。
その一つ一つに支えられながら、今日も誤魔化し誤魔化し、僕は社会人をやれているのでした。
さてさて、いかがだったでしょうか。
新規100冊、計200冊無事に完走しました。
僕は元々作品にハマるというよりも作家ごとハマることが多いので、作家被りなしというルールはかなり厳しかったです。
ここまでやっておいて、また入れ忘れた作品に気づいてしまったのですが、流石にもうやりません。打ち止めます。
この中で少しでも気になる作品があったら、ぜひぜひお手に取ってみてください。
ではでは、今回はこの辺で!