こんにちは、モンブランです。
暑いんだか寒いんだか、晴れるんだか雨が降るんだかよくわからない日々が続いていますね。着る服に迷うどころか、傘を持って行くかどうかすら迷う毎日です。
五月病だけでなく六月病なんかも、ひょっとしたらあるのではないでしょうか? 僕は身体だけは頑丈なので、皆さんは体調に気をつけてくださいね。祝日のない6月に負けないで。
さて、前々から気になっていた『四畳半タイムマシンブルース』がようやく文庫化したので、即買い即読みしました。
これが期待していた以上に面白くて、デレステ「Frozen Tears」実装事件や無限昼寝編なんかもありつつ、割と早めにブログに感想が纏まりました。
怠惰なる己を叱咤しつつ、つらつらと書いて参りましょう。
炎熱地獄と化した真夏の京都で、学生アパートに唯一のエアコンが動かなくなった。妖怪のごとき悪友・小津が昨夜リモコンを水没させたのだ。残りの夏をどうやって過ごせというのか?「私」がひそかに想いを寄せるクールビューティ・明石さんと対策を協議しているとき、なんともモッサリした風貌の男子学生が現れた。なんと彼は25年後の未来からタイムマシンに乗ってやってきたという。そのとき「私」に天才的なひらめきが訪れた。このタイムマシンで昨日に戻って、壊れる前のリモコンを持ってくればいい!小津たちが昨日の世界を勝手気ままに改変するのを目の当たりにした「私」は、世界消滅の危機を予感する。『四畳半神話大系』と『サマータイムマシン・ブルース』が悪魔合体?小説家と劇作家の熱いコラボレーションが実現!
上記のあらすじ通り、今作はタイムマシンが絡んだドタバタ劇。きっかけは些細なことながら、実際に辿った歴史との矛盾が生じないよう奔走する、一つのお約束パターンですね。
残念なことに『サマータイムマシン・ブルース』は履修していないのですが、その代わりに読んでいて彷彿とさせた作品がありました。
ハルヒと出会ってから俺はすっかり忘れた言葉だが、あいつの辞書にはいまだに“退屈”という文字が光り輝いているようだ。その証拠に俺たちSOS団はハルヒの号令のもと、草野球チームを結成し、七夕祭りに一喜一憂、失踪者の捜索に熱中したかと思えば、わざわざ孤島に出向いて殺人事件に巻き込まれてみたりして。まったく、どれだけ暴れればあいつの気が済むのか想像したくもないね…。非日常系学園ストーリー、天下御免の第3巻。
SF要素がごった煮になった、有名なライトノベルである涼宮ハルヒシリーズの中でも、特にタイムトラベル要素が強い短編が収録されている巻です。ちなみに、『涼宮ハルヒの陰謀』も同じく挙げたいところなのですが、過去よりも未来に振り回される話なので今回は割愛。
『涼宮ハルヒの退屈』収録の「笹の葉ラプソディー」は、七夕の日に主人公・キョンが未来人・朝比奈さんによって、3年前の七夕の夜に連れて行かれたことに端を発した話です。目的もわからぬまま3年前の世界を彷徨うキョンが出会ったのは、門の閉まった中学にこれから侵入しようとする、当時中学1年生の涼宮ハルヒでした。
涼宮ハルヒシリーズは、第1巻の『憂鬱』から謎の要素が散りばめられていて、その一つが涼宮ハルヒの過去の奇行である“校庭落書き事件”。一晩で中学の校庭に大規模な模様が描かれて、当時にミステリサークルかと地方紙で騒がれたほどの出来事でした。しかし、奇妙ながらも正確に描かれていて、尚且つ中1の女の子が描いたにしては規模が大きい。
当時のハルヒは真相について口をつぐんでいましたが、実は現代からやって来たキョンが中1ハルヒの指示で描かされたものだったのです。
また、この時のキョンとハルヒの会話がSOS団結成のきっかけになったり、その後のある大事件の解決の糸口になったりと、「笹の葉ラプソディー」は実はシリーズにおける重要エピソードです。この伏線と回収の鮮やかさに、当時読んでいてとても感嘆したことをよく覚えています。
オチについては『四畳半タイムマシンブルース』の方と重なる部分があります。
『四畳半〜』では押入れから出るに出られなくなった“私”が一晩そのまま潜んで、元の時間になったらみんなと合流。
「笹の葉〜」ではタイムマシンを無くして帰れなくなったところを宇宙人の長門有希に頼り、和室ごと自分たちを時間凍結してもらい、3年後の現代にそれを解除してもらうという形で帰還しました。
どちらも“現代に自分が居るならば辻褄が合う”という力業な解決方法です。タイムマシンに乗らなければ時間移動ができないという固定観念を壊してくれる面白さもありますよね。ハルヒの場合は3年なので流石に自分の時間を停めてもらう必要がありましたが、それでも過去から未来への移動は何に頼らずとも常に行なっているようなものですから。
四畳半の方に話を戻します。明石さんを送り火見物に誘ったのは誰かという謎が最後の最後までわからなかったり、25年後の未来からタイムマシンでやって来た田村君の正体だったりも、中々に粋な仕掛けだったと思います。そのお陰で、終盤に至っては壊れたリモコンのことはどうでも良くなっていたにも関わらず、読後感の良いオチになっていました。
やはり、時間移動は魅力的な“今”があってこそですよね。四畳半メンバーが明石さん監督作のポンコツ映画をワチャワチャ撮影している“今”があったから、その後の時間移動という“変化”が引き立ち、過去へ跳んで初めてわかる真相がとても心地良いのです。
懐かしい面々でとても楽しいタイムマシン騒動を堪能できました。映画も楽しみですね。
最後に羽貫さんの作中でのセリフを引用して、今回の締めとさせていただきます。
「タイムマシンって最高ッ!」
ではでは、今回はこの辺で!