モンブランは静かに暮らしたい。

静かに暮らしたいのに、好きなことの話をすると静かでなくなってしまうブログです。

晴れの日も雨の日も本を読みたい(10)

 こんにちは、モンブランです。

 桜が咲いて散って、GW(ガッ○ムウィーク)は瞬く間に過ぎ去り、初夏を感じさせる暑さに降りかかったかと思いきや、フライング気味の梅雨がやって来た今日この頃。皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか?

 僕はと申しますと、仕事が忙しかったり、シャドバの新弾でローテーションとアンリミテッドの両フォーマットグラマス7期目達成したり、仕事が忙しかったり、デレステで加蓮5周目が唐突に訪れてガシャの天井を叩く羽目になったり、仕事が忙しかったり、仕事が忙しかったり……。そんな風に過ごしていたら、気づけばもう5月も終わろうとしています。

 ブログのタイトルの「静かに暮らしたい」が願いの段階から中々現実に反映されませんが、何とか五体満足に暮らしております。

 小説もバチコリと書いております。

 漫画や小説もめっちゃ読んでおります。

 前回に引き続き、読んだ本の感想で紙幅を費やすことをお詫び申し上げようとしたところで、いや、これ別に自分のブログだから好きに書いて良いじゃん、ゴーイングマイウェイ、今回も好きに書かせてもらうぜ!

 

 

 

 

 

 

1.東野圭吾『白鳥とコウモリ』幻冬舎

 

二〇一七年十一月一日。
港区海岸に止められた車の中で腹を刺された男性の遺体が発見された。 被害者は白石健介。正義感が強くて評判のいい弁護士だった。 捜査の一環で、白石の生前、弁護士事務所に電話をかけてきた男、 倉木達郎を愛知県三河安城に訪ねる刑事、五代。 驚くべきことにその倉木がある日突然、自供をし始める――が。 二〇一七年東京、一九八四年愛知を繋ぐ〝告白〟が、 人々を新たな迷宮へと誘う—。

 

 東野圭吾さんの最新長編です。昔から東野圭吾さんの作品は沢山読んでいたので、今回もウッキウキで読書に臨みました。

 前作はコロナ禍の日本を描いていましたが、2017年なので今作は現代だけどコロナ直前の話ですね。

 上記のように、犯人が早々に自供して終わり……とはいきません。倉木の供述内容は筋道が通っていて、警察や検察はそのまま倉木を犯人として立件、起訴しようとしますが、その内容に違和感を覚える人物たちが居ました。

 1人は“殺人犯の息子”になってしまった、倉木の息子・倉木和真。父親が殺人犯である現実を受け入れられない、ということ以上に、供述にあった短絡的な行動に違和感を覚えたのでした。父親は殺人を犯すような人ではない。父親が供述する彼自身の人物像が、自分の知る父とは合致しない。

 もう1人は“被害者の娘”である白石美令。倉木の供述した殺人の動機は、殺害された白石弁護士に過去の犯罪を自首するよう迫られたことによるものでした。しかし、美令が知る父は、正義感は持ちながらもそれによって人を追い詰めるようなことをする人物ではありませんでした。

 つまり、立場は対照的でありながらも、2人とも倉木の供述には嘘があると思い、真相を追い始めます。

 一方は被害者の娘として世間からの同情を受け、もう一方は殺人犯の息子として非難を浴びる。この作品のタイトルにある“白鳥”と“コウモリ”はこの2人の比喩です。……大丈夫です、ネタバレになってません。

 タイトルの方は内容的にはそこまで重要ではなくて、読み終わった僕としては、帯に書かれていた次の言葉に大きな意味があると思います。

幸せな日々は、もう手放さなければならない

 これは一体誰が、どのような思いから発した言葉なのか。

 読みながら、そのことを考えてみるのも面白いかもしれません。

 結構分厚い単行本でしたが、いつものことながら、展開の速さと引き込まれる内容でグイグイ読めました。

 

 

 

2.杉井光『楽園ノイズ(2)』電撃文庫

 出来心で女装演奏動画をネットにあげた僕は、謎の女子高生ネットミュージシャン(男だけど)として一躍有名になってしまう。
 けどその秘密が音楽教師・華園美沙緒先生にバレてしまい、口止めでこき使われる羽目に……
 無味無臭だったはずの僕の高校生活は、華園先生を通じて巡り逢う三人の少女たち
「ひねた天才ピアニストの凛子」
「華道お姫様ドラマーの詩月」
不登校座敷童ヴォーカリストの朱音」
 によって騒がしく悩ましく彩られていく。
 恋と青春とバンドに明け暮れる、ボーイ・ミーツ・ガールズ!

 上記はこの本というより、シリーズ通してのあらすじになります。

 つーか、2巻が出るとは思ってなかった!

 1巻の時点でとても面白く、キリが良かったので続きは出ないかと思っていたので、発売早々に買って読みました。

 ラノベ特有のテンポの良さとキャラクター、そして巧みな音楽描写がこの作品の魅力です。……僕も一応は小説を書く身なのでわかるのですが、音楽を文章で表現するのってかなり難しいんですよ。聴けばすぐにわかるものを活字にして、尚且つ想像を掻き立てるように書かなければならないのは大変なんです。

 この時点で物書きとしては完全に白旗を上げつつ、純粋に読者として楽しんでました。オリジナルの曲だけでなく、実際にある音楽が沢山出てきて、読んだ後で聴いてみたくなります。

 あとは、ラブコメも王道を行く“鈍感主人公”のおかげで、実家のような安心感があります。今巻もほぼほぼ告白のようなセリフがありましたが、主人公は恋愛感情から来るものとは全く受け止めていません。ただ、恋愛方面を進め過ぎるとバンドが崩壊しかねないので、ちょうど良い塩梅になっていると思います。

 2巻を読んでみて、また続刊が出そうな雰囲気があるので、楽しみにしています!

 

 

 

2.夏川草介『臨床の砦』小学館

「この戦、負けますね」
敷島寛治は、コロナ診療の最前線に立つ信濃山病院の内科医である。一年近くコロナ診療を続けてきたが、令和二年年末から目に見えて感染者が増え始め、酸素化の悪い患者が数多く出てきている。医療従事者たちは、この一年、誰もまともに休みを取れていない。世間では「医療崩壊」寸前と言われているが、現場の印象は「医療壊滅」だ。ベッド数の満床が続き、一般患者の診療にも支障を来すなか、病院は、異様な雰囲気に包まれていた。
「対応が困難だから、患者を断りますか? 病棟が満床だから拒絶すべきですか? 残念ながら、現時点では当院以外に、コロナ患者を受け入れる準備が整っている病院はありません。筑摩野中央を除けば、この一帯にあるすべての病院が、コロナ患者と聞いただけで当院に送り込んでいるのが現実です。ここは、いくらでも代わりの病院がある大都市とは違うのです。当院が拒否すれば、患者に行き場はありません。それでも我々は拒否すべきだと思うのですか?」――本文より

 嫌なことから逃げるのは良いけれど、目を逸らすだけではいけない。

 今コロナのニュースを見ない日はありません。見ていて楽しい気分にはなりませんが、生活に大いに関わるだけに、見ないわけにはいかない。

 そんなコロナのことをわざわざ小説でまで読みたくはないと思う方は少なくないでしょう。ただ、コロナのニュースを見て“なんとなく不安”になったり、“なんとなくストレス”に感じたりする人こそ、読んだ方が良いと思います。

神様のカルテ』でも有名な作者の夏川草介さんは、現役の医師でもあり、コロナ禍の最前線で闘ってきた1人です。だからこそ、この作品にはフィクションでありながらドキュメンタリーを思わせるような臨場感がありました。

 この作品を読んだ後、きっとコロナのニュースの見方が変わると思います。

 例えば、「病床使用率30%」を多いと見るか、少ないと見るか。

 例えば、クラスターが起こった時、病院現場ではどのくらいの医療スタッフが動かなければならないのか。

 誤解をしないでいただきたいのですが、この作品は「経済よりも医療を優先すべき」というメッセージを発しているわけではありません。ただ、中々表に出せない(出す余裕もない)医療現場の最前線を描くことで、自分たちがどのように考えるかが委ねられています。

 蔓延する他人からの意見や情報に振り回されずに、自ら考え、行動することを促されているように、僕は感じました。

「読むべき」という強い言葉はあまり使いたくないのですが、人に強く推したい作品です。

 

 

 

 

 

 

 

 さてさて、いかがだったでしょうか。忙しい合間を縫って、結構本読んでるでしょう。慢性的な活字中毒を患っているのでしょうがないんです。

 他にも神林長平さんの『ライトジーンの遺産』とか読んでいたり、漫画でも『推しの子』がやっぱり面白かったり、近々出る『葬送のフリーレン』の新刊を待ち侘びていたり。

 労働という“動”の時間だけでいっぱいいっぱいにならずに、“静”の時間たる読書タイムを大事にしたいですね。

 やっぱり、僕は静かに暮らしたいので。

 

 ではでは、今回はこの辺で!