モンブランは静かに暮らしたい。

静かに暮らしたいのに、好きなことの話をすると静かでなくなってしまうブログです。

『涼宮ハルヒの直観』感想〜「鶴屋さんの挑戦」に寄せて〜

 

 

内容(裏表紙より)

初詣で市内の寺と神社を全制覇するだとか、ありもしない北高の七不思議だとか、涼宮ハルヒの突然の思いつきは2年に進級しても健在だが、日々麻の苗木を飛び越える忍者の如き成長を見せる俺がただ振り回されるばかりだと思うなよ。
だがそんな俺の小手先なぞまるでお構い無しに、鶴屋さんから突如謎のメールが送られてきた。
ハイソな世界の旅の思い出話から、俺たちは一体何を読み解けばいいんだ?
天下無双の大人気シリーズ第12巻!

 

 

 

 待ちに待ったハルヒの最新刊だ。感想を書かずにはいられなかった。新刊が発売されるというニュースを見てから、俺のテンションは鰻登りの滝登り。ようやく手に取って読み切った勢いそのままにこれを書いている。

 俺の取れる最も速い移動手段である自転車で本屋に買いに行った。

 

 

 直帰して部屋にこもり、文庫本1冊や財布などを入れるスペースよりもさらにゆとりのあるバッグを放り出して、夢中になって読み始めた。

 

 

 読むペースは人よりも早い方だと自負していたが、流石の俺でもすぐに読み切ることはできなかった。段々日が沈むのが遅くなっていくこの時期とは言え、読み始めた時は真昼間の明るさだったのに、読み終えた時にはもう辺りは真っ暗だ。

 

 

 しかし、胸の内はらしくもなく爛々と輝き、充実感とスッキリとした感覚に満ち満ちている。前巻の、続きが気になる終わり方から長い間お預けにされていたものが、ようやく落ち着いたからだ。いやぁ、本当に良かった。

 一応、別の媒体でこの最新刊の一部が読めたとは言え、やはりきちんと完品としての最新刊を読めた時の感動は大きい。

 

 

 さて、そろそろ内容についても触れよう。

 涼宮ハルヒという小説はライトノベルとしては勿論のこと、SF小説としての側面も大きい。

『憂鬱』で朝比奈さんは時間のことをパラパラマンガに喩えていたが、物語がさらに進んでいくと作中では“時間平面”という言葉がよく用いられる。平面が積み重なって層となり、それが時間なのだという考え方だ(多分こういう理解で良いと思う)。

 まさかそれを個人の意思で変えようとする人物が現れようとは、と読んでいて結構驚いた。“彼”の事情を思うと「悪用」という言葉はあまり使いたくないが。

 これまでのシリーズの中でも、スケールとボリュームの大きい物語だった。その一方で、日常の象徴である同級生たちの意外な側面を知れたのも良かった。クリスマス前に付き合い始めてバレンタイン前に振られた谷口の彼女の正体だったり、国木田が北高に進学した理由だったり。メインではないからしょうがなかったとは言え、鶴屋さんの出番はもうちょっと欲しかったかな。

 

 

 と、こんな風にネタバレを避けるとやや抽象的な言い回しの感想になってしまったが、とにかく語りたかった! 良いインプットをすると、アウトプットをしたくなる衝動に駆られるものだから!

 一度に2冊を読むのは流石に骨が折れたものの、読みたい一心で夢中でページをめくっていた。

 

 

 次の日の学校に支障が出るから平日にはあまりできないが、俺は特に気に入った新刊は超スピードで読破した後に、徹夜してでももう一度ゆっくりと読み返す習慣がある。

 

 

 が、流石に2冊をまた読み返す気力・体力は残っていなかったから、代わりにこれを書いているという訳だ。……読むのは大変でも書くのは良いのか、という指摘を受けそうだ。

 うん、どちらも苦痛ではないが、気分次第では書く方が楽なこともある。

 

 

 また読み返したら、新しく気づくことや思うことが出てくるだろうが、ここで一旦感想を〆としておく。

 以上、涼宮ハルヒの驚愕(前)(後)』の感想終わり!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こんにちは、モンブランです!

 いかがだったでしょうか、上記の感想文は?

 そうです、9年半ぶりに出た今回の最新刊『涼宮ハルヒの直観』ではなく、実は『涼宮ハルヒの驚愕』について書かれたものだったのです。

 騙されてくれましたか?(笑)

『直観』の中の書き下ろし「鶴屋さんの挑戦」で叙述トリックが使われていたので、僕もまた叙述トリックを使ったブログに挑戦してみました。

 ミステリを読むのは好きで、叙述トリックを扱った作品も数多く読んできましたが、かと言って簡単に書けるものではありませんね。

 上記の感想は、『涼宮ハルヒの驚愕』が発売された当時に書いた感想文に手を加えて書かれたものです。ですので、あからさま過ぎる部分は端折りながらも、『直観』の感想としては違和感があるように仕上げたつもりです。

 ヒントがなければ不親切ですからね。一応、ヒントのある部分ごとにスペースを空けてわかりやすくしておきましたが、出題者の義務としてざっと解説をしておきましょうか。

 

①まず、今の僕で「最も速い移動手段が自転車」なのはあり得ませんね。社会人かつとっくに免許を取っているので、本気で急ぐならば自動車を使うべきです。当時学生だったならばさにあらず、ですが。

②バッグのスペースについて詳細に書いてありますが、文庫本が1冊だけとは限らないことが示唆されています。事実、『驚愕』は前編・後編の2冊でしたから。『直観』は文庫本約400ページなので、少々厚めとは言え1冊分のスペースで良いはずです。

③こちらも同様に、1冊ではなく2冊読んでいたことが示唆されています。2冊も読んだら流石に日が暮れますよね、合計で800ページ弱くらいありましたから。

④この辺りから内容に触れています。明確に「続きが気になる終わり方」というのは、このシリーズの読者ならばわかると思いますが『驚愕』の前の『分裂』だけなんです。別の媒体で発表されていたというのも偽りではなくて、『驚愕』は『ザ・スニーカー』という雑誌(現在休刊中)で最初の章が先行公開されました。ちなみに、『直観』の「あてずっぽナンバーズ」はいとうのいぢさんの画集で、「七不思議オーバータイム」は『ザ・スニーカーREGEND』で既に発表されていた短編です。

④ここでは内容にガッツリ触れていますね。シリーズ読者ならここで完全に「いや、それ『驚愕』じゃねーか!」とツッコミをしていただけると思います。そうでない方も、内容の方で鶴屋さんの名前が出てきているにも関わらず「メインではない」としているのは不自然でしょう。

⑤はい、ここでも2冊って言っちゃってる!

⑥ここで書いている習慣は本当です。そして、『驚愕』発売当時は高校生でした。懐かしいね。

⑦また2冊って言ってる! 隠す気本当にあるのか!

 

 といった具合です。読んでいて違和感を抱いた方は正しいです。こちらが意図的に仕組んだことですから。

 でも、いつかもっとスマートに自著にも叙述トリックを用いてみたいですね。

 谷川流先生はSFだけでなくミステリにもかなり造詣が深く、そうでなければ作中の古泉たちのミステリ談義は成り立たなかったでしょう。現実の作品からの引用があった時にはたまげましたが。僕的にはかなり有意義で面白かったのですが、ミステリに詳しくない読者はやや置いてけぼりだったような気がします。

 でも、作中で挙げられたタイトルも面白いから是非読んで欲しい。名作の数々だから。

 

 

 そんな感じで、ネタバレをアグレッシブに躱す形で『涼宮ハルヒの直観』の感想をお送りしました。

 ……本当は今回は別の内容について書こうと思ってたんですけどね、そちらは更に次に回そうかなーと。

 ともあれ、今作で改めて“あの伏線”が強調されて、キョンも恐らく谷川先生も一番好きな夏の到来を予感させる内容なので、続刊に期待が持てますね。

 谷川流先生、続きをお待ちしてます!

 

 ではでは、今回はこの辺で!