こんにちは、モンブランです。
色々と考えるべきことがあっても考えたところでどうしようもなくて、それならば少しでも楽しいことを頭に入れておいた方が精神衛生上よろしいのかなと思うものの、結局自分を騙す自分自身は休まらないので幸運が降ってくることを祈るしかありません。
それとは全然関係あるようで全然ないんですが、今回はオススメしたいライトノベルの話をしたいと思います。
ラノベに限らず、学生の頃ってやけに読書が捗りませんでしたか? 特に高校の頃は勉強の息抜きと称して貪るように読んでいた記憶があります。
漫画やラノベもまた然り。勉強とありとあらゆるプレッシャーに追い込まれると、精神的な逃げ道として愉快なフィクションを求めたくなるものです。
その中でも僕が当時好んで読んでいたラノベを紹介します。今更薦められてもしょうがないほどメジャーな作品はなるべく避けるつもりですが、どうしても質の良さにネームバリューが伴う場合も多いので、「この作品は自分も好き」というものがあれば、一緒に懐かしんでいただければ幸いです。
学校を出よう! Escape from The School (電撃文庫)
- 作者: 谷川流
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2016/07/30
- メディア: Kindle版
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『涼宮ハルヒシリーズ』で有名な谷川流さんの別シリーズです。ハルヒ同様SFが絡んだストーリーですが、こちらは谷川さんがより自由に楽しく書いているような印象を受けます。
ある日突然EMP能力と呼ばれる超能力に目覚めた少年少女たちが強制収容された学校ーー第三EMP学園から物語は始まります。学園は世間から隔離された山奥にあり、次々とおかしな事件が起こり、登場人物たちが振り回したり振り回されたりするスラップスティックコメディーです。
作品タイトルと能力ゆえに学園に強制収容されていることから、登場人物たちが不自由を強いられているようですが、そんなことは全くありません。むしろ学園で日常的に起こる非日常を楽しんでいるようです。
主人公は……誰なんでしょう?(笑)
第1巻では、最強のサイコキネシスを使う妹の幽霊に取り憑かれた、何の能力も持たない男子高校生・高崎佳由季が主人公兼語り手でした。
しかし、タイムリープ物として隠れた名作と呼ばれている第2巻では舞台が完全に学外に移り、彼は一切登場しません。
第3巻以降は再び学園に舞台が戻るものの、三人称視点でスポットを当てられるのは佳由季の後輩・光明寺茉衣子になり、彼はほとんど影が薄くなり脇役に追いやられがちになってしまいます。
物語としてはその方が面白く、むしろ彼の心情の移り変わりを描くために敢えてそのように扱っているのではないかと僕は思っています。
……正直、第1巻の時点では物語の展開の仕方が辿々しく、魅力的なキャラたちの顔見せ程度の価値しか見出せないかもしれません。
しかし、1巻で切らないで欲しい!
このシリーズは巻を追うごとに面白みと深みが増して行きます。
時間移動。パラレルワールド。そして、世界そのものの仕組み。
スラップスティックコメディーを楽しみながらSF的魅力に浸ることのできる作品です。
古本屋で結構安く手に入ると思うので、ぜひぜひ読んでみてください。
繰り返すけれど、1巻で切らないで! 3巻まで読んで判断して! お願い!
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸 (電撃文庫)
- 作者: 入間人間
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2013/06/26
- メディア: Kindle版
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『電波女と青春男』や『安達としまむら』で有名な入間人間さんのデビュー作です。
小学生の兄妹失踪事件と連続殺人事件が同時に起こる田舎町が舞台。8年前にも誘拐事件が起きており、その被害者である「みーくん」こと「僕」が「まーちゃん」こと御園マユと再会し同居するところから物語が始まります。
この小説やばいです。
第1巻の帯でも「第十三回の電撃小説大賞の最終選考会で物議を醸した問題作」と書かれていたくらいで、結局受賞はできなかったものの大幅に加筆修正して刊行されました。
まず、連続殺人事件が物騒ですよね。その上、小学生の兄妹失踪事件。実は失踪した兄妹は「まーちゃん」の家に居ました。おい。
「みーくん」の厭世的でどこか現実感のない語りで物語が進行するものの、作中の現実で起こる事件は血生臭いものばかり。
彼らがこうなってしまったのは、8年前の誘拐事件にあります。詳しく言及するとネタバレになってしまうので書けませんが、少なくともただ被害に遭っただけではなく、8年前の事件がどうやって終わったのかが肝になります。
タイトルの通り、「みーくん」は嘘つきで「まーちゃん」は壊れています。
まともな精神でこの独特な世界観を楽しんでみてください。意外と癖になります。
僕としては第1巻だけでも物語が成立していて十分に楽しめると思うので、試しに読んでみていただけると嬉しいです。
西尾さんの小説はライトノベルの区分に入るかどうか微妙なところですが、そもそもライトノベルの定義について考えだすと非常に面倒臭いので、この場ではとりあえずライトノベルとして扱わせてください。
上述の『学校を出よう!』はひと昔前に流行った所謂「セカイ系」に当て嵌まる作品ですが、タイトルに「世界」を冠したこの小説は「セカイ系」ではありません。
この小説における「世界」は登場人物たちが送る学園生活にあたります。
妹への愛が重い櫃内様刻とブラコンの一言で済ませられない域で兄を慕う櫃内夜月。そして、様刻の友人、迎槻箱彦と琴原りりす。
ギリギリのラインで平衡を保っていた彼らの世界は、学園内で起こった密室殺人事件によって壊れ綻びていく。
保健室にひきこもり、集団と「わからないこと」を恐れる病院坂黒猫とともに、様刻は事件の解決に乗り出します。
出題編と解決編がある古典的なミステリですが、事件の謎を解くと共に周囲の人間の秘密を目の当たりにし、様刻は選択を迫られます。彼にとっての「世界」を守るために。
西尾さんの人気シリーズである『物語シリーズ』よりも更にキャラの癖が強く、ストーリーも人を選ぶものとなっています。
ページも改行が少なめで活字の羅列の圧力がありますが、いざ読んでみるとスイスイ読めてしまいます。
この小説から始まる『世界シリーズ』の他の作品でも、ミステリの王道を踏まえつつ新しいことに挑戦していますので、『きみとぼくの壊れた世界』共々オススメです。
……最終巻と予定された『ぼくの世界』いつ出るんだろう?
いかがだったでしょうか? 読んだことのないラノベを紹介することができたでしょうか?
僕としては「名前は聞いたことあるけど手に取って読んだことはなかった」という人に「気になる」と思わせたら大勝利です。
読んだことがあるーー特に『学校を出よう!』を読んだことがあるという方は、僕の元までご一報ください。周りに読んだことがある人が居なくて寂しかったんです。自作小説の中で『学校を出よう!』のキャラから下の名前を丸々引用したキャラが居たのに、終ぞ周りから突っ込まれませんでしたし。
今回のラノベの話は自分で書きながら懐かしい気分に浸れました。時間と機会に恵まれたら、再読してみようかと思います。
ではでは、今回はこの辺で!